結論|食べ残しの量だけでは、食事の評価はできません
高齢者施設の食事提供で、気になることの一つが「食べ残し」です。
せっかく用意した料理が、ほとんど手をつけられずに戻ってくる。
あるいは、主菜は食べていただけるのに、副菜だけが残っている。
そんな状況が続けば、料理を提供する側としては気になるものです。
しかし、私たちは食べ残しが多いからといって、必ずしも料理がおいしくないとは限らないと考えています。
食べ残しには、さまざまな理由があるからです。
大切なのは、残った量だけを見るのではなく、なぜ残ったのかを考えること。
その積み重ねが、食事の改善につながります。
同じ食べ残しでも、理由はまったく違います
例えば、ある日の昼食に、魚の煮付けと野菜の和え物を提供したとします。
魚はほとんど残っていないのに、野菜の和え物が多く残っていた。
この場合、どのような理由が考えられるでしょうか。
「味付けが好みに合わなかった」
もちろん、その可能性はあります。
しかし、それだけではありません。
野菜が少し硬かったのかもしれません。
一口の大きさが食べにくかったのかもしれません。
あるいは、主菜を食べたところでお腹がいっぱいになった可能性もあります。
同じ料理が残っていても、その理由は入居者様によって違うのです。
だからこそ、残食量という数字だけで判断するのではなく、実際に食事をされている様子にも目を向ける必要があります。
「どの料理が残ったか」を見ることが大切
施設全体の食べ残しを確認するとき、単純に残食の総量だけを集計していないでしょうか。
例えば、50名の施設で、ある日の昼食に食べ残しが多かったとします。
ここで知りたいのは、単に何キログラム残ったかということだけではありません。
主菜が残ったのか。
副菜が残ったのか。
ご飯が残ったのか。
特定の料理に集中しているのか。
こうした違いによって、改善の方向性が変わります。
例えば、特定の副菜だけが繰り返し残る場合は、食材の組み合わせや味付け、食感などを確認するきっかけになります。
一方で、料理の種類に関係なく全体的に食べ残しが増えている場合は、提供量や入居者様の体調など、別の視点も必要になります。
何が残ったのかを知ることは、なぜ残ったのかを考える第一歩です。
提供量が合っていない可能性もあります
高齢者施設では、入居者様によって必要な食事量が異なります。
同じ年齢であっても、体格や活動量、健康状態はそれぞれ違います。
例えば、毎回ご飯を半分ほど残される方がいたとします。
単純に考えれば、ご飯の量が多いのかもしれません。
しかし、ここで注意したいことがあります。
食べ残すからといって、安易に提供量を減らしてよいわけではありません。
必要な栄養量が確保できなくなる可能性があるからです。
厚生労働省も、高齢者の低栄養予防において、食事の回数やバランス、口腔機能などへの配慮が重要であることを示しています。
食事量の見直しが必要な場合には、管理栄養士などの専門職が、体重の変化や栄養状態、実際の摂取量などを確認しながら判断することが大切です。
食べ残しを減らすことだけを目的にしてはいけないのです。
現場でしか分からない情報があります
ここで重要になるのが、施設スタッフの存在です。
セントラルキッチンでは、料理を調理し、施設へお届けします。
しかし、入居者様が実際にどのように食事をされているかを、調理する側が直接確認できるわけではありません。
例えば、ある料理について、
「味は好きだけど、少し食べにくい」
「おいしいけれど、量が多い」
「今日は食欲がなかった」
といった声があったとします。
こうした情報は、食べ残しの量だけでは分かりません。
食事を提供するスタッフが気づいたことや、入居者様から直接聞いた感想には、数字だけでは捉えられない価値があります。
もちろん、食欲の低下が続く場合には、体調や口腔機能、飲み込みの状態なども含め、施設の医療・介護・栄養の関係職種による確認が必要です。
料理をつくる側と、食べる方の近くにいる側。その両方の情報があってこそ、食事の改善につながると考えています。
セントラルキッチンだからこそ、改善につなげたい
自然派King & Queenでは、国産を中心とした食材を大切にしながら、セントラルキッチンで調理した料理を、完全調理済みの真空パックで高齢者施設へお届けしています。
セントラルキッチンの特徴は、調理工程を集約し、複数の施設へ安定して料理を届けられることです。
一方で、調理する場所と食事を提供する場所が離れているという特徴もあります。
だからこそ、私たちは施設からの情報を大切にする必要があると考えています。
例えば、ある料理について、複数の施設から同じような意見が寄せられた場合。
料理の味付けに問題があるのか。
食材の硬さに改善の余地があるのか。
再加熱後の仕上がりに違いが生じていないか。
そうした点を確認するきっかけになります。
反対に、特定の施設だけで食べ残しが多い場合には、その施設の提供方法や入居者様の状況なども確認する必要があります。
同じ料理を複数の施設へ届けるからこそ、施設ごとの違いにも目を向ける。
これも、セントラルキッチンによる食事提供で大切にしたい視点です。
食べ残しを減らすことが、最終目的ではありません
食品ロスを減らすことは、もちろん大切です。
食材価格が上昇する中で、無駄を減らすことは施設経営にも関わります。
しかし、食べ残しを減らすことだけが目的になってしまうと、本当に大切なことを見失う可能性があります。
例えば、残食量を減らすために、最初から食事の量を少なくする。
確かに、食べ残しは減るかもしれません。
しかし、それで入居者様に必要な栄養が足りなくなってしまっては意味がありません。
私たちが大切にしたいのは、食べ残しを減らすことではなく、入居者様に必要な食事を、おいしく召し上がっていただくことです。
その結果として、食べ残しが減るのであれば、それは望ましいことだと思います。
自然派King & Queenが考える、食事改善のあり方
高齢者施設の食事は、毎日続くものです。
だからこそ、一度の評価ですべてを判断することはできません。
今日の食べ残し。
明日の食べ残し。
そして、入居者様から寄せられる声。
そうした情報を積み重ねることで、初めて見えてくることがあります。
私たちは、セントラルキッチンで効率よく料理をつくることと、食べる方の声に耳を傾けることは、どちらも大切だと考えています。
管理栄養士が関わる献立づくり。
国産を中心とした食材選び。
調理や衛生管理への配慮。
そして、実際に食べていただいた後の評価。
これらがつながってこそ、毎日の食事の質を高めていけるのではないでしょうか。
食べ残しは、単なる廃棄物ではありません。
そこには、次の食事をより良くするためのヒントが隠れていることがあります。
自然派King & Queenは、料理を届けるだけで終わるのではなく、施設とともに食事のあり方を考え続ける存在でありたいと思っています。
