結論:大切なのは「全部食べたか」より、「食べられるものが少しずつ増えたか」
こども園・幼稚園・保育園の給食では、「今日は全部食べました」という言葉は、分かりやすい成果の一つです。
もちろん、子どもが喜んで給食を食べてくれることは、私たち給食会社にとってもうれしいことです。
しかし、私たちは日々の給食に関わる中で、完食だけを給食のゴールにしてしまうと、本当に大切な変化を見落とすことがあると考えています。
昨日まで手をつけなかった野菜を一口食べた。
苦手だった食材の匂いをかいでみた。
友達が食べているのを見て、自分から箸を伸ばした。
こうした小さな変化も、子どもにとっては立派な「食べる力」の成長です。
子どもの「食べない」には理由があります
大人から見ると、「好き嫌い」に見えることがあります。
しかし実際には、味だけが理由とは限りません。
食感が苦手だったり、見慣れない食材に警戒したり、匂いや温度が気になったりすることもあります。
特に園生活の中では、年齢や発達段階によって食べられる量も違います。
だからこそ、
「食べない=給食がおいしくない」
「残した=偏食が悪化している」
と単純に判断することはできません。
実際の給食現場では「一口」が大きな変化になることがあります
給食は家庭の食事とは少し違います。
同じ年齢の友達と同じテーブルを囲み、同じ料理を食べるという環境があります。
「○○ちゃんが食べているから食べてみよう」
そんな気持ちが生まれることもあります。
私たちが給食現場で大切だと感じるのは、子どもが新しい食材に出会う機会を何度もつくることです。
一度出して食べなかったから、その食材を献立から外す。
それでは食べられるようになる機会そのものが減ってしまいます。
調理方法を変える。
切り方を変える。
味付けを変える。
別の料理としてもう一度出してみる。
こうした積み重ねが、ある日突然の「食べた!」につながることがあります。
「人気メニューだけにする」のも正解ではありません
残食を減らそうとすると、子どもがよく食べる料理を増やしたくなります。
しかし、それだけでは給食の役割として十分ではないと私たちは考えています。
給食には、家庭ではなかなか登場しない食材や料理と出会える良さがあります。
特に、毎日の給食を提供するこども園・幼稚園・保育園だからこそ、さまざまな食材を繰り返し経験できること自体が食育になります。
食べ慣れたものだけを提供するのではなく、新しい味や食感との出会いをつくる。
その一方で、子どもが「食べてみよう」と思える献立や調理方法を考える。
この両方が必要です。
園と給食会社が「残食の数字」だけでなく「子どもの変化」を共有する
ここは、給食会社だけではできません。
厨房から見えることと、先生から見えることは違います。
「今日の煮物は残った」という数字だけでは分からなくても、先生から、
「普段食べない子が今日は一口食べました」
という話を聞けば、その献立に対する評価は変わります。
反対に、多く残った料理について、
「味ではなく、少し食べにくそうでした」
という情報があれば、次回の切り方や調理方法を改善できます。
給食会社が献立を作って終わりではなく、園と一緒に子どもの反応を見ながら改善していくこと。
これが園給食では非常に重要だと考えています。
セントラルフーズグループ「自然派給食」が考える給食
私たちセントラルフーズグループの自然派給食では、国産食材を中心に、植物性食材や玄米なども取り入れながら、子どもたちの毎日の食事を考えています。
ただ「体によさそうなもの」を提供することが目的ではありません。
どれほど食材にこだわっても、子どもたちが食べる経験につながらなければ、給食として十分とは言えないからです。
だからこそ、
食材へのこだわりと、子どもが実際に食べること。
この二つを切り離さずに考えることを大切にしています。
今日全部食べられなくてもいい。
昨日食べなかったものを、今日は一口食べてみる。
その小さな積み重ねが、数年後の子どもたちの食生活につながっていく。
私たちは、こども園・幼稚園・保育園の給食には、「今日の完食」だけでは測れない価値があると考えています。
