結論|正しい料理をつくるだけでは、正しい食事提供にはなりません
高齢者施設の食事提供では、おいしさや栄養バランス、衛生管理が重要です。
しかし、それだけで十分とは限りません。
例えば、入居者様の食形態が変更になったとします。
その情報が厨房に伝わっていなければ、料理がどれだけおいしく、安全につくられていても、その方に適した食事を提供できない可能性があります。
つまり、食事の品質は厨房の中だけで決まるものではないということです。
自然派King & Queenでは、セントラルキッチンで料理をつくるだけでなく、施設で適切に提供していただくことまで含めて、食事の品質を考える必要があると思っています。
食事に関する情報は、毎日少しずつ変わります
高齢者施設では、入居者様の状態や生活状況によって、食事に関する情報が変わります。
例えば、次のような場面です。
- 体調の変化により食形態の見直しが必要になった
- 入院や外泊によって食数が変わった
- 新しい入居者様の食事が始まる
- 食事制限やアレルギーに関する情報が更新された
- 食欲の低下について介護スタッフから相談があった
こうした情報は、介護スタッフ、看護スタッフ、管理栄養士、厨房スタッフなど、複数の職種に関係します。
問題は、誰かが知っていることと、必要な人全員に伝わっていることは違うという点です。
「伝えたつもり」が起こりやすい理由
例えば、ある入居者様の食形態について、専門職による評価を踏まえて変更が決まったとします。
介護スタッフは申し送りで共有した。
しかし、厨房スタッフには伝わっていなかった。
あるいは、厨房には伝わっていたものの、配膳を担当するスタッフが古い情報を確認していた。
こうした情報の行き違いは、連絡方法が曖昧な場合に起こり得ます。
特に注意したいのが、口頭だけの連絡です。
「昨日伝えました」
「聞いていません」
「誰かが変更してくれたと思っていました」
このような状況を防ぐには、個人の注意力だけに頼らない仕組みが必要です。
大切なのは、情報を一か所に集めること
では、どのような仕組みが必要なのでしょうか。
私たちは、少なくとも次の点を明確にすることが重要だと考えています。
① 誰が変更を判断するのか
食形態や食事制限など、専門的な判断が必要な内容については、施設の定める手順に従い、医療・栄養・介護の関係職種が適切に判断する必要があります。
② 誰が厨房へ伝えるのか
複数のスタッフがそれぞれ連絡するのではなく、伝達する担当者や方法を明確にしておきます。
③ いつから変更するのか
今日の夕食からなのか、明日の朝食からなのか。
変更内容だけでなく、適用開始のタイミングも重要です。
④ 最終的に誰が確認するのか
情報を更新しただけで終わらず、盛り付けや配膳の段階でも、最新の情報と一致しているか確認する仕組みが必要です。
重要なのは、連絡回数を増やすことではありません。
必要な情報が、必要な人へ、間違いなく届く仕組みをつくることです。
完全調理済み食でも、情報共有の重要性は変わりません
自然派King & Queenでは、セントラルキッチンで調理した料理を、完全調理済みの真空パックで高齢者施設へお届けしています。
施設側で一から調理する工程を減らすことで、厨房の負担軽減を支援しています。
しかし、調理工程が減ったからといって、入居者様に関する情報管理が不要になるわけではありません。
むしろ、料理をつくる場所と提供する場所が分かれているからこそ、双方の役割を明確にする必要があります。
セントラルキッチンが担う料理の品質管理。
施設側が担う入居者様の状態把握と提供時の確認。
そして、その間をつなぐ情報共有。
この三つがつながってこそ、完全調理済み食の仕組みを十分に生かすことができます。
自然派King & Queenが考える、これからの食事提供
高齢者施設の厨房では、人手不足や業務の効率化が大きな課題になっています。
そのため、調理工程を減らすことに注目が集まりがちです。
もちろん、それも大切です。
しかし、私たちが目指したいのは、単に厨房の仕事を減らすことではありません。
調理の負担を軽減しながら、入居者様一人ひとりに必要な確認や対応を大切にできる環境をつくることです。
そのためには、厨房スタッフだけでなく、介護スタッフや看護スタッフ、管理栄養士との連携が欠かせません。
おいしい料理をつくることと、その方に合った食事を届けること。
この二つがそろって、初めて良い食事提供になる。
自然派King & Queenは、セントラルキッチンの仕組みを通じて、施設全体で支える食事づくりに貢献していきたいと考えています
